私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ナイロビの蜂」

2006-05-14 16:56:01 | 映画(な行)


2005年度作品。
イギリスのミステリー作家、ジョン・ル・カレの作品を映画化。NGO活動に従事していた妻の死の真相を探るため、その裏にある陰謀に近付いていく外交官の姿を描く。
監督は「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス。
出演は「イングリッシュ・ペイシェント」のレイフ・ファインズ。本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズ。


本作でもっとも目を引いたのはやはりレイチェル・ワイズだろう。
そのまっすぐな熱意とひたむきな情熱がスクリーンの向こう側から伝わってきて存在感が光っていた。準主役ではあったが、主人公を食っていたのはまちがいない。その強いインパクトのために、この映画は彼女のための映画なのだな、という感じすらしたほどだ。

作品そのものはサスペンスタッチである。プロットは起伏に富んでいて簡単には飽きさせない。そしてそれに、アフリカにおける企業の利権や、そこにある非人道性の追求といった社会派のテーマを加味して描き出している。
詳しい描写はなく、つっこみは足りないと思うけれど、そこにある貧困とエゴの描写は悲惨だ、と思った。
個人的には飛行機で脱出するとき、子供を見捨てざるをえなくなるシーンが印象深い。人間は決して全ての人間を救うことができないのだな、と思い知らされた。

本作はラブストーリーと銘打たれているけれど、それと同時に、愛に裏打ちされた硬派な作品と思った。なかなかの良作である。

評価:★★★★(満点は★★★★★)

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